【2024年最新版】不動産相続手続きを自分で行う方法– 必要書類や費用、手続きの注意点を徹底解説

不動産相続手続きを自分で行う 不動産の相続

不動産の相続手続きは、もちろんですが専門家に手続きを依頼する以外で、自分で手続きを行うことも可能です。
しかし、自分でやろうにも手続きの流れや必要な書類、費用について分からないことだらけで不安に思っている方も多いのではないでしょうか?さらに2024年からは相続登記が義務化されたため、早めの手続きの対応が求められます。
この記事では、元々不動産で働いていた自称マイホーム博士が不動産の相続手続きを自分で行う方法と、必要書類や注意点についてわかりやすく解説していきます。
ぜひ、参考にしてみてください。

1. まず、相続手続きの基本的な流れを紹介

不動産の相続手続きを自分で進める場合、以下の流れで手続きを進める必要があります。

  1. 相続人の確認
  2. 必要書類を集める
  3. 登記申請書を作成
  4. 法務局に登記申請
  5. 登記が完了するまで待つ

各ステップで必要となる書類や手順を具体的に見ていきましょう。

相続人の確認

相続手続きを始める前に、誰が法定相続人であるかを確認することは意外にも重要です。相続人が何名いて被相続人とどのような関係性なのか正しく確定していないと、不動産の登記手続きを進めることができません。
相続人の確認には、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本が必要となります。

ここで一つ、実際にあった驚くようなエピソードをご紹介します。

 知らなかった兄弟が突然現れるケース

ある日、父親の相続手続きを進めていたAさんは、戸籍謄本を調べていたところ、驚くべき事実が発覚しました。亡くなったお父さんには、自分が知らない「隠し子」つまり異母兄弟が存在していたのです!


父親が若い頃に別の女性との間に子どもをもうけており、その子どもが法律上の相続人だと判明したのです。
これにより、Aさんは自分一人で全ての相続財産を引き継げると思っていたところ、急遽その隠し子との話し合いが必要となり、遺産分割協議に多くの時間と労力を費やすことになりました。

このように、相続手続きでは「知らなかった兄弟などの相続人が突然現れる」というケースも決して珍しくありません。戸籍謄本を取得して相続人を確認する際に、隠された家族関係が明るみに出ることがあるため、相続手続きをする際には慎重に調査を進めましょう。まずは、すべての相続人を正しく確認し、遺産分割協議書に全員の同意を得ることが、円滑な相続手続きの第一歩です。

必要書類を集める

相続登記には、必要な書類がいくつかあります。原則は、3年以内に登記手続きを行わなければならないため(期限を超えた場合には、過料を徴収される可能性があります。)、それまでに全部の書類を準備する必要があります。

必要な書類は以下の通りです。

 

被相続人の戸籍謄本および除籍謄本

出生から死亡までの一連の戸籍謄本です。相続関係を証明するために必要です。

取得先

市区町村役場

必要なもの

申請者の本人確認書類(運転免許証など)、被相続人の氏名、生年月日、続柄など

取得方法

窓口での申請または郵送での申請が可能です。オンライン申請に対応している自治体もあります。

 

相続人全員の戸籍謄本

相続人の続柄や相続分を明らかにするために必要です。
相続人全員の戸籍謄本を取得するには、各相続人が自身の戸籍謄本を各自で取得するのが一般的です。

取得先

市区町村役場

必要なもの

本人確認書類: 運転免許証、パスポート、マイナンバーカード(※コンビニ取得の場合は必須)など
手数料: 各市区町村役場で異なりますが、1通あたり数百円程度が一般的です。

取得方法

窓口での申請: 役場の窓口に直接行き、申請書に必要事項を記入し、本人確認書類を提示します。
郵送での申請: 申請書に必要事項を記入し、本人確認書類のコピーを添付して、郵送で請求します。
コンビニでの申請: 自治体によっては、コンビニでの取得も可能です。詳しくは住んでる地域の役所のホームページを確認してください。

 

不動産の登記簿謄本

相続対象となる不動産の情報が記載されています。

取得先

法務局

必要なもの

申請者の本人確認書類、不動産の所在地、所有者の氏名など

取得方法

窓口での申請またはオンライン申請が可能です。

 

不動産評価証明書

登録免許税を計算するために必要です。市区町村役場で取得できます。

取得場所

市区町村役場

必要なもの

申請者の本人確認書類、不動産の所在地、所有者の氏名など

取得方法

窓口での申請または郵送での申請が可能です。

 

相続関係説明図

相続人の続柄や相続分を図で表したものです。

作成方法

自分で作成するか、司法書士に依頼します。
自分で作成をする場合には、テンプレートやひな形を活用することをおススメします。
法務局の「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」が参考になります。様式は、EXCELファイルなので、オフィスソフトのEXCELを使用するかGoogleのスプレッドシートを活用しましょう。

【引用】法務局:法定相続人が配偶者及び子である場合の様式

作成手順
  1. 情報を整理する:
    • 被相続人の氏名、生年月日、死亡日
    • 相続人全員の氏名、生年月日、被相続人との続柄
    • 相続分
    • 不動産や預金などの遺産の状況
  2. 図を作成する:
    • 被相続人を中心に、相続人を線で結び、それぞれの続柄を記載します。
    • 相続分を記載します。
    • 必要に応じて、遺産の内容を簡単に記載します。
  3. 作成する際の注意点:
    • 相続関係が複雑な場合は、専門家(司法書士など)に相談することをおすすめします。
    • 作成した図に誤りがないか、慎重に確認しましょう。
    • 相続人全員で内容を確認し、合意を得ることが重要です。
  4. 署名・捺印: 相続人全員が作成した図に署名・捺印をします。
作成のポイント
  • シンプルで分かりやすく: 相続関係が複雑にならないように、シンプルなのがおすすめです。
  • 必要な項目が全て記載されている: 被相続人、相続人、続柄、相続分など、必要な項目が全て記載されているか確認しましょう。
  • 修正しやすい: 手書きで修正しやすいものや、パソコンで簡単に編集できるのが望ましいです。

 

相続人全員の印鑑証明書

登記申請書に押印するために必要です。

取得場所

市区町村役場

必要なもの

申請者の本人確認書類

取得方法

窓口での申請が一般的です。

 

場合によっては必要な書類

  • 遺産分割協議書: 相続人全員で遺産の分割について合意したことを証明する書面です。
  • 遺言書: 被相続人が遺言を残している場合、その原本が必要です。
  • 委任状: 相続手続きを代理人に委任する場合に必要です。

 

登記申請書を作成

登記申請書は法務局のウェブサイトから取得することができます。書き方に不安がある場合、法務局が提供するサポートやオンラインサービスを活用すると良いでしょう。

オンラインで作成する場合には、こちらの記事が参考になります。

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法務局に登記申請

書類が揃ったら、法務局に提出します。申請方法には、法務局の窓口での提出とオンライン申請の2つがあります。
オンライン申請の場合、手続きが効率化されるため、特におすすめです。

登記が完了するまで待つ

申請後、法務局での審査が行われ、問題がなければ登記が完了します。通常、登記が完了するまでには1〜2ヶ月程度かかります。

詳しい相続登記に関する手順などは、こちらの記事も参考にしてください。

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2. 自分で手続きを行うメリット・デメリット

メリット

  • 費用を抑えられる: 司法書士などの専門家に依頼する場合、税金や書類取得費以外にも5万~30万円ほどの報酬がかかってきます。自分でお行う場合は、手間は大幅に増えますが、この報酬にかかる費用を節約できるため、登録免許税書類取得費の数万円程度で済むでしょう。
  • 手続きの理解が深まる: 自分で進めることで、相続手続きの知識を得ることができ、次回また相続がある場合に、役に立ちます。

デメリット

  • 時間と労力がかかる: 書類の収集や手続きに多くの時間を費やすことになります。不動産の相続だけの場合、2ヶ月程度を見ておいた方が良いです。
  • 書類不備のリスク: 知識がないところから、一から手続きをするため、書類が揃っていなかったりミスがあると、手続きが遅れる可能性があります。
  • 2024年からの義務化に伴うリスク: 3年の相続登記の期限を過ぎると登記を怠ったとみなされて罰則が科される可能性があるため、注意が必要です。

3. 2024年からの法改正による相続登記の義務化とは?

2024年から、不動産の相続登記が義務化されることになりました。これにより、相続が発生した場合、相続人は必ず登記を行わなければなりません。
以下に、法改正の詳細と注意点を説明します。

登記義務化の詳細

相続が発生した場合、相続開始から3年以内に登記を行う必要があります。この期間内に登記を行わないと、過料(罰金)が科される可能性があります。

登記を怠った場合の罰則

義務化された相続登記を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。また、状況によって罰則額は異なる場合がありますが、相続人にとっては大きな負担となり得ます。

法改正の背景

この義務化の背景には、長年の不動産所有者不明問題がありました。そのことがあり、政府は法改正で不動産の管理を明確にし、放置された不動産を減らすことを目指しています。
相続人は法的責任を果たすため、早めに登記を行うことが重要です。

4. 手続きに必要な費用と時間の目安

費用

相続登記にかかる費用は、ざっと以下の通りです。

  • 登録免許税: 不動産の評価額の0.4%。
    例: 不動産評価額が1,000万円の場合、登録免許税は4万円です。
  • 戸籍謄本や住民票の取得費用: 1通あたり500円〜1,000円程度。
  • 登記簿謄本: 600円〜1,000円。
  • その他手数料: 書類の取得や証明書の発行にかかる費用。

時間

書類を揃えるのに1〜2週間、法務局に申請してから登記が完了するまでに1〜2ヶ月程度かかります。時間を節約したい場合には、オンライン申請を活用することも一つの方法です。

5. 専門家に依頼した場合との比較

専門家に依頼するメリット

  • ミスのリスクが減る: 専門家に依頼すれば、書類の不備や手続きのミスが減り、スムーズに手続き進められます。
  • 複雑な案件にも対応可能: 特殊な相続案件や他の相続人が海外に住んでいる場合など、専門家の助けが必要なケースがあります。

費用面の比較

司法書士などの専門家に依頼した場合、報酬として数万円〜十数万円の費用がかかってしまいますが、手続きを任せることで安心感を得られて、自分のプライベートの時間も守られます。
こういった手続きは、自分の置かれている状況によって労力が大きく変わります。本記事を読んで、「自分で出来そう!」と思って手続きしてみたら、他の相続人が非協力的だったりして、うまく進まないなんてケースもあったりします。
そういった意味でも、司法書士や場合によっては弁護士、税理士などの専門家に相談することも念頭に入れておきましょう。

6. よくある質問(FAQ)

Q1: 不動産の相続手続きを自分で行うのは難しいですか?

A: 不動産の相続手続きを自分で行うことは可能ですが、手続きには専門的な知識が必要です。特に書類の収集や申請書の作成に時間がかかる場合があります。
簡単なケース(例:相続人が1人で遺産分割協議が不要な場合)であれば自分で進められるかなと思います。ですが、複雑な案件(例:複数の相続人がいる場合)は、専門家に相談することをおすすめします。

Q2: 不動産の相続登記を自分で行う際の費用はいくらかかりますか?

A: 登記にかかる費用は、登録免許税として不動産の評価額の0.4%が必要です。例えば、1,000万円の評価額であれば4万円がかかります。また、戸籍謄本や住民票の取得費用など、その他の手数料も数千円〜発生します。

Q3: 2024年からの相続登記義務化について詳しく教えてください。

A: 2024年から相続登記が義務化され、相続が発生した場合には3年以内に登記を行う必要があります。この義務を怠ると、最大10万円以下の過料が科される可能性がありますので、早めの対応が必要です。

Q4: 登記申請書を自分で作成する際の注意点は?

A: 登記申請書は法務局のウェブサイトから取得できますが、記載内容にミスがあると申請が受理されないことがあります。申請書を作成する際は、記載例を参照しながら丁寧に作業しましょう。不安な場合は、法務局の窓口で確認したり、専門家に相談することをお勧めします。

Q5: 相続登記をオンラインで申請することは可能ですか?

A: はい、オンライン申請は可能です。法務局のオンライン申請サービスを利用すると、書類を直接持ち込む必要がなくなり、時間と手間を大幅に削減できます。ただし、オンライン申請でも必要書類は全て揃える必要があり、デジタル化が必要な書類もあるため、事前に確認しましょう。

Q6: 登記手続きにどれくらいの時間がかかりますか?

A: 手続きにかかる時間は、書類の準備に約1〜2週間、申請後の審査と登記完了までに1〜2ヶ月ほどです。オンライン申請を利用すれば、書類提出の手間を省けるため、時間を少し短縮することができます。

8. まとめ

不動産相続手続きを自分で行うことは可能ですが、手続きに必要な書類を揃え、正確に手続きを進めることが求められてきます。特に、2024年からの相続登記の義務化に備えて早めの対応が必要です。3年以内の登記を怠ると罰則(過料)が科される可能性があるため、相続が発生したら迅速に動くことが重要です。

この記事が、不動産相続手続きを進める上で役立つ情報を提供できたことを願っています。自分で行うことが可能であれば、コスト削減の面でメリットがあります。しかし、手続きを自力で進める場合、費用を抑えられる一方で、時間と労力がかかるため、複雑な相続案件だった場合は専門家に依頼することも検討しましょう。

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