相続や終活について考えるのは、人生の終盤に差し掛かってから…そんな風に思っていませんか?
実は、終活や相続の準備は早めに始めることで、トラブルを未然に防ぎ、家族に安心をもたらすことが出来ます。「あの人は、やっぱりしっかりした人だったね」と亡くなった後に言われたいものです。
そして終活は、一度準備をしただけで終わりではなく、定期的に見直すことが大切です。
この記事では、正しい仕来りを持つ王室から学び、相続準備の知恵を交えながら、終活の進め方や、どんな準備が必要かを解説します。
終活って何?イギリス王室も実践する「相続の準備」とは
終活とは「人生の最終章」に向けた準備全般を指します。2011年公開された映画「エンディングノート」が話題になったり、2012年の流行語大賞ベスト10にランクインしたり、最近ではメディアでも取り上げられるようになり、関心が高まっている「終活」ですが、多くの家族がいる方にとっての「終活」の中心には「相続」があります。財産の整理や、家族への遺産の引き継ぎに関して、遺言書やエンディングノートを作成することが終活のなかでも重要となります。
イギリスの王室では、相続の準備が極めて緻密に行われています。例えば、エリザベス2世の逝去後、プリンス・チャールズ(現在のチャールズ3世)が相続した財産は、すでに長年にわたる計画のもとで整理されていました。王室の財産は、伝統的に「コーンウォール公領」や「ランカスター公領」などの不動産資産または投資資産が中心であり、これらは世代を超えて守られ、引き継がれています。
王室はこのように財産管理と相続計画を徹底して行い、トラブルを防いでいますが、私たちもこれに倣って、早めの準備が重要です。
残された家族の相続トラブルを防ぐ!終活のススめ
30代、40代きっと50代でも「終活なんてまだ早い」と考える方も多いかもしれません。しかし、現実には相続の準備が全くされておらず、残された多くの家族が相続をめぐってトラブルに直面しているケースがほとんどです。特に遺言書がない場合、法定相続人の間で遺産分割の話し合いが難航し、場合によっては裁判にまで発展するなんてことも…。また、相続人全員が必ずしも、ずっと一緒に暮らしていた家族だとは限らなかったりもします。
王室では、相続の準備を早くから行うことでトラブルを未然に防いでいます。例えば、エリザベス女王の遺産相続の際には、すでに長期間にわたり相続計画が立てられ、法的トラブルを防ぐための措置が取られていました。ニュースにもなっていましたが、ひ孫であるヘンリー王子とウィリアム皇太子に非課税で資産を残すために信託基金を設立し、2002年に亡くなりました。この信託基金には、推定1,900万ポンド(約35億円)の資産が預け入れられており、ヘンリー王子とウィリアム皇太子はそれぞれ21歳と40歳の誕生日に分割して受け取れるようになっていました。
公平に分割をすることを選択したエリザベス女王はきっと、ひ孫たちが険悪な関係にならないよう心配しての決断だったのだとニュースを見た私は感じました。
同様に、私たちも財産の整理や遺言書の準備を行い、家族間での相続トラブルを回避することが重要です。
終活で考えるべき相続の基礎知識
では、終活を通じて相続の準備をするには、どんな知識が必要なのでしょうか?
遺言書は3種類存在する!
まず押さえておきたいのは「遺言書の種類」です。遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの種類があり、それぞれに法的効力があります。特に、公正証書遺言は公証役場で作成されるため、確実に法的効力を持たせることができます。
その特徴と使用例を具体的に紹介します。
1. 自筆証書遺言の使用例
自筆証書遺言は、自分で手書きで作成する遺言書です。費用がかからず、手軽に作成できるのがメリットですが、法的要件を満たさないと無効になることがあるため注意が必要です。
たとえば、次のようなケースでは自筆証書遺言が適しています。●簡単な内容を伝えたい場合
「長男に自宅の土地を相続させ、次男には預金口座の資金を相続させる」というような、シンプルな財産分与を希望する場合、費用をかけずに自筆で作成することが可能です。●急な病気などで急いで遺言を作成したい場合
突然の病気や事故など、急ぎで遺言を残したい場合に、自分ですぐに書けることが利点です。
※2020年の法改正により法務局での保管制度が開始され、法務局で保管することで相続開始後に家庭裁判所での検認が不要になるため、この制度を利用することで安全性が高まります。
2. 公正証書遺言の使用例
公正証書遺言は、公証人の前で作成されるため、法的に非常に強力です。遺言書の内容が無効になるリスクが低く、遺言者の意思が確実に尊重されます。また、公証役場で保管されるため、遺言書が紛失する心配もありません。
次のような場合、公正証書遺言を選ぶことが適しています。●財産が多岐にわたる場合
「自宅、不動産、株式、預貯金、そして美術品など、多くの種類の財産を遺す場合」、複雑な内容を確実に伝えるためには、専門家の助言を得ながら公正証書遺言を作成するのが安心です。●家族間でトラブルが起きる可能性がある場合
たとえば、「特定の相続人に財産を多く遺したいが、他の相続人が不満を持つ可能性がある場合」や、「後妻と前妻の子供たちが相続人である場合」など、法的に争いが起こるリスクが高いケースでは、公正証書遺言で遺言の内容をしっかりと固めておくことが必要です。
3. 秘密証書遺言の使用例
秘密証書遺言は、内容を他人に知られたくない場合に使うことができます。遺言書の内容は遺言者が作成し、封印して公証人に提出します。ただし、遺言書の内容自体に不備があれば無効になる可能性があるため注意が必要です。
次のような場合には、秘密証書遺言が選ばれることがあります。●遺言の内容を秘密にしておきたい場合
例えば、特定の相続人に多くの財産を遺したり、友人や団体に寄付をしたいと考えているが、家族に知られるとトラブルになりそうな場合、内容を秘密にしたいという理由から秘密証書遺言が利用されます。●自身で作成した遺言書をしっかりと保管してほしい場合
遺言書の内容を自分で決め、保管だけを安全に行いたい場合、秘密証書遺言を使うことで公証人に証明と保管を任せることができます。
どの遺言書を選ぶべきか?
遺言書の選択は、財産の種類や相続人との関係、遺言書の内容の複雑さに応じて変わります。複雑な相続やトラブルのリスクが高い場合は公正証書遺言を、シンプルな財産分与の場合は自筆証書遺言を、そして内容を秘密にしたい場合は秘密証書遺言を選ぶと良いでしょう。また、どの遺言書を選ぶにしても、弁護士や税理士といった専門家に相談しながら進めることが大切です。
残された家族に待ち受ける相続税
また、相続税についても考慮が必要です。日本では、相続財産が基礎控除額を超える場合、相続税が発生します(例:法定相続人が1人の場合、基礎控除額は3600万円)。一方、イギリスの王室は相続税の支払いが義務付けられていない特別な地位にありますが、一般の私たちの場合は相続税の申告が必要です。
このように、相続の準備では、財産を整理しつつ、税金や法的手続きについてもしっかりと理解しておくことが大切です。
相続準備を始めるタイミングは「今」!早めの準備が安心の秘訣
終活は、年齢に関係なく誰でも始めることができます。そして、定期的に見直すことで、家族や状況に応じた変更を加えることが可能です。
相続に関する法律は、時代と共に変化することがあるので、できることなら弁護士や税理士などの専門家によるアドバイスを受け、最新の法改正や税制に対応できるよう準備することが大切です。弁護士や税理士に相談することで、複雑な相続手続きもミスなく安心して進めることができます。
終活でやっておきたいことリスト
終活を通じて相続準備を進める際に、以下のリストを参考にしてみてください。
財産目録の作成 | 不動産、預貯金、株式、保険など、自分の持っている財産をすべてリスト化しましょう。 |
エンディングノートの作成 | 財産以外にも、葬儀や延命措置についての希望を書くことで、家族の負担を軽減できます。 |
遺言書の準備 | 確実に遺志を伝えるために、法的に有効な遺言書を作成することが不可欠です。 |
相続税の確認 | 自分の財産が相続税の対象になるかどうか、基礎控除額を超えているかを確認しましょう。 |
家族とのコミュニケーション | 終活の内容や相続について、家族と話し合い、理解を深めておくことも大切です。 |
終活を早めに始めることで、心の余裕を手に入れよう
終活は、単なる財産整理や相続の準備ではなく、自分の人生を見つめ直し、最期の時に備える大切なプロセスです。王室のように慎重な計画を立てることで、あなたと家族が後悔しない人生の終わりを迎えることができます。今すぐ終活を始め、定期的に見直すことで、安心の日々を過ごしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 終活はいつから始めるべきですか?
A. 終活は何歳からでも始めることができます。特に60代以降に考える方が多いですが、30代など若い世代でも財産整理やエンディングノートの作成を始めることで、いざという時に備えることができます。早めに始めることで、余裕を持った準備が可能です。
Q2. 遺言書は必ず作成した方がいいですか?
A. はい、遺言書の作成は非常に重要です。めんどくさいかもしれませんが、遺言書がない場合、残された法定相続人つまり、家族の間で遺産分割が必要となり、トラブルが発生するリスクが高まります。公正証書遺言など、法的に効力のある形で遺言書を作成することで、ご家族の負担を減らし、自分の意思を確実に伝えることができます。
Q3. 終活をする際に、相続税についてどう考えればいいですか?
A. 相続税は、財産が基礎控除額を超えた場合に発生します。例えば、相続人が1人の場合は、3600万円を超える遺産に対して課税されます。自分の財産が相続税の対象になるかどうかを確認し、必要に応じて税理士に相談するのがおすすめです。
Q4. エンディングノートと遺言書の違いは何ですか?
A. エンディングノートは法的効力を持ちませんが、葬儀の希望や財産の場所など、家族へのメッセージや自分の希望を記録するためのものです。遺言書は法的効力があり、財産の分割方法などについて正式な意思表示ができます。両方を活用することで、よりスムーズな相続や家族の負担軽減につながります。
Q5.遺言書は複数でもいいのか?
結論から言うと、遺言書は複数作成しても問題ありません。公正証書遺言と秘密証書遺言の併用といった使い方もかのうです。ただし、複数の遺言書が存在する場合、それぞれの内容が矛盾しないようにすることが重要です。法律では、遺言書の最終更新日が最新のものが有効とされるため、過去の遺言書があっても、最新の遺言書がその内容に優先されます。
Q6. 家族に終活や相続の話を切り出すタイミングはいつがいいですか?
A. 家族に終活や相続の話をするのは、できるだけ早めが良いでしょう。お互いに元気なうちに、落ち着いた状態で話し合うことで、誤解や感情的な対立を防ぎやすくなります。家族の理解と協力を得ることが、終活を成功させるための重要なポイントです。
こんにちは、ほたるです。
相続と聞くと難しいと感じることもあるかもしれませんが、皆さんが安心して理解できるよう、丁寧にお伝えすることを心がけています。
私の書いた記事が、皆さんの疑問や不安を少しでも解消して、次のステップに進むお手伝いができれば嬉しいです!
実は、お洒落な場所で紅茶を飲みながら記事を書くのが私の楽しみだったりします(笑)
皆さんもリラックスして記事を読んでいただけたらと思います。
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