【60代以降の方必見】相続の基本と準備のポイント:後悔しないための7つのアドバイス

相続対策

老後に備えて「相続」を考え始めるのは、家族への思いやりとなります。
早めに準備をしておくことで、財産の分配が円滑に進み、残された家族の負担を最小限にできます。
一方で、相続の知識が不十分だと、準備が不足していて、相続する家族の手続きが複雑になったり、残された家族間でのトラブルが発生したりする原因になることにつながってしまいます。
この記事では、60代以降の方に向けた具体的な相続の準備方法を詳しく解説し、安心して相続の準備を進められるようにサポートいたします。

1. 【相続準備の第一歩】遺言書を早めに準備する。

遺言書を残さない場合は、財産の分け方が法律に従って自動的に決まります。その場合、相続人同士で意見が食い違うと、思わぬ家族間のトラブルにつながることも珍しくありません。
なので、遺言書の作成によって、遺産をどのように分配するかを明確にし、トラブルを回避することは非常に重要なことです。

遺言書の種類

2種類の遺言書が存在します。厳密には、もう1種類ありますが特殊な要件がない限りは主に以下の2種類だけ知っていれば大丈夫です。

公正証書遺言:公証役場で公証人に依頼して作成します。手続きは少し複雑ですが、法律的に最も有効です。改ざんのリスクがないため、安心です。
自筆証書遺言:手軽に自分で作成できますが、法的要件を満たさない場合、無効になるリスクがあります。2020年の法改正で、自筆証書遺言の内容を法務局で保管する制度も利用できるようになりました。

遺言書作成のポイント

法定相続人の権利を理解したうえで分配する。
定期的に内容を見直し、家族状況の変化(離婚・再婚、子どもの結婚など)に対応する。
財産目録も添付し、わかりやすく記載する。

2. 【相続財産の見える化】財産の棚卸しを行う

所有している財産を家族に知らせずにいると、相続手続きが大変になります。そこで、財産の棚卸しを行い、リスト化しておくことが大切です。

  • 預金口座や不動産の情報
  • 有価証券や生命保険の契約
  • 借入金やローンなどの負債

アドバイス:エクセルなどでまとめるか、「エンディングノート」を活用するのもおすすめです。定期的に見直し、最新の情報に更新しましょう。

【財産目録の例】相続準備のための財産の「見える化」

財産目録を作成することで、財産の全体像を明確にし、相続手続きがスムーズになります。以下は、財産目録の具体例です。これを参考に、自分の財産を整理し、定期的に更新しましょう。

1. 現金・預貯金

銀行名 支店名 口座番号 種類 残高 (円) 備考
○○銀行 渋谷支店 1234-5678 普通預金 5,000,000 自分のメイン口座
△△信用金庫 新宿支店 8765-4321 定期預金 3,000,000 満期:2026年4月

2. 不動産

種類 所在地 面積 (㎡) 登記名義人 現在の評価額 (円) 備考
自宅 東京都渋谷区 120 自分 50,000,000 ローンなし
賃貸マンション 横浜市港北区 60 自分 30,000,000 月収15万円の賃料

3. 有価証券(株式・投資信託)

種類 銘柄名 保有数 現在の評価額 (円) 証券会社 備考
株式 ○○株式会社 100株 1,000,000 ○○証券 長期保有予定
投資信託 △△ファンド 200口 500,000 △△証券 解約時期未定

4. 生命保険・年金

保険種類 保険会社名 契約番号 保険金額 (円) 受取人 備考
生命保険 ○○生命 123456 10,000,000 非課税枠内で相続予定
個人年金保険 △△生命 654321 年額 1,200,000 自分 65歳から支給予定

5. 借入金・負債

種類 金融機関 借入額 (円) 残高 (円) 返済期限 備考
住宅ローン ○○銀行 30,000,000 10,000,000 2030年12月 自宅のローン
クレジットカード △△カード 500,000 200,000 来月支払い分 一時的な利用分

6. その他の財産(美術品・貴金属・会員権など)

種類 詳細 現在の評価額 (円) 備考
美術品 ○○画家の絵画 3,000,000 鑑定書あり
ゴルフ会員権 ○○カントリークラブ 1,500,000 名義変更手続き必要
貴金属 金のネックレス(50g) 400,000 20年前に購入

7. まとめと活用ポイント

財産目録は、財産の全体像を把握するだけでなく、遺産分割計画や相続税対策にも活用できます。以下のポイントを押さえ、定期的に見直しましょう。

  • 家族への共有:信頼できる家族にこのリストの存在を伝える。
  • 更新の習慣化:年に1回、財産状況の変化に応じて更新する。
  • 専門家のサポート:財産が複雑な場合、司法書士や税理士に相談する。

エンディングノートと組み合わせて活用すると、家族に負担をかけずに安心して老後を迎えられます。

3. 【生前贈与を活用した相続税対策】節税を計画する

相続税の課税対象となる財産を減らすために、生前贈与を活用する方法があります。

年間110万円までの贈与は非課税となります(暦年贈与)。
教育資金贈与や結婚・子育て資金贈与の特例も検討しましょう。

アドバイス:生前贈与は計画的に行うことが重要です。税理士に相談して、節税対策を進めましょう。

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4. 【生命保険を使った相続の現金化】受取人設定の見直しがカギ

生命保険は、「相続財産」としてではなく、受取人の固有財産になります。スムーズに資金を受け渡す手段として、相続税対策にもなります。

  • 非課税枠:500万円 × 法定相続人の人数分
  • 現金化がスムーズなため、葬儀費用や税金の支払いに役立ちます。

アドバイス:受取人が正しく設定されているか、定期的に確認しましょう。

5. 【家族信託で相続のリスク管理】認知症に備える

高齢者にとって心配なのが認知症による財産管理の難しさです。もし判断能力が低下した場合、遺産分割や生前贈与が難しくなります。そこで「家族信託」が注目されています。

  • 家族信託:信頼できる家族が財産を管理し、運用する制度
  • 認知症になった後でも、契約内容に従って財産を分配可能

アドバイス:専門家と相談し、家族全員で理解した上で契約を結びましょう。

6. 【遺留分と相続トラブルを回避する方法】遺産分割の計画

日本の法律では、相続人には最低限の取り分である「遺留分」が保証されています。特定の相続人に多く財産を譲りたい場合、遺留分に配慮しないと遺産分割トラブルにつながる恐れがあります。

  • 配偶者や子どもには、相続財産の一定割合を請求する権利があります。
  • 生前に家族と話し合い、納得のいく分割方法を考えましょう。
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7. 【相続の準備は早めに】安心できる老後のためのまとめ

相続は、思った以上に手間や時間がかかるものです。しかし、早めの準備をすることで、家族に残す負担を減らせます。

遺言書の作成で家族間のトラブルを防ぐ
財産の整理とエンディングノートで見える化
生前贈与や生命保険で節税対策と資金確保
家族信託で認知症のリスクに備える

家族全員が笑顔で安心して暮らせるように、今から少しずつ準備を進めていきましょう。

【相続に関するよくある質問(Q&A)】

Q1. 遺言書がない場合、財産はどう分けられますか?

A:遺言書がない場合、法律に従って「法定相続人」が決まります。配偶者と子どもがいる場合は、それぞれに1/2ずつ相続する形になりますが、配偶者だけの場合や子どもが複数いる場合などで割合が変わります。

Q2. 生前贈与にはどのようなリスクがありますか?

A:生前贈与をした財産が「贈与日から3年以内」に贈与者が亡くなると、その財産は相続財産に含まれ、相続税がかかる場合があります。また、贈与が偏ると他の相続人とのトラブルを引き起こすリスクもあるため、慎重に進めましょう。

Q3. 生命保険は相続税の対象になりますか?

A:生命保険の受取金は基本的には受取人の固有財産となりますが、法定相続人の人数に応じた**非課税枠(500万円×法定相続人の人数分)**を超える部分には相続税が課されます。

Q4. 家族信託と遺言書はどちらを選べばいいですか?

A:家族信託は、認知症など判断能力の低下に備えて生前の財産管理を行う仕組みです。一方、遺言書は亡くなった後の財産の分け方を指定するために使います。どちらも用途が異なるため、両方を組み合わせるのがベストです。

Q5. 相続放棄をする場合、どうすればよいですか?

A:相続放棄をする場合は、相続開始から3か月以内に家庭裁判所へ申請が必要です。放棄することで、借金などの負債も含めて一切の財産を受け継がなくなります。

最後に

相続は、一人で悩む必要はありません。司法書士や税理士、弁護士などの専門家に相談しながら進めていくことが大切です。家族との会話を大切にし、安心して老後を過ごせるようサポートしていきましょう。

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