1. 相続詐欺とは?初心者でも分かる基礎知識
相続詐欺は、遺産を受け取る際に詐欺師が不正な方法で財産を奪おうとする犯罪です。
詐欺師は相続に不慣れな人の不安や無知に付け込んできます。例えば、代行業者を名乗って手数料を騙し取る、あるいは投資話を持ちかけて資産を巻き上げる手口など、巧妙な手法を使ってくることが多いです。
2. 相続詐欺のよくある手法:どんな詐欺があるのか
偽の相続手続き代行業者
ケース1:代行業者による詐欺
60代のAさんは、父親が亡くなり、初めて相続手続きを進めることになりました。父親は自営業をしており、相続する財産も多かったため、Aさんは手続きの煩雑さに不安を感じていました。そんなとき、ネットで見つけた「相続手続きをすべて代行します」という業者に相談。業者は親切な対応で、「必要書類を提出すれば、あとは全てお任せください」とAさんに言いました。
しかし、手続きが進むにつれ、次々と「新しい書類が必要」と言われ、都度数十万円の手数料を請求されることに…。騙されているかも心のどこか思いつつも、真実を受け止めたくない一心に業者の言うままに支払いを続けた結果、振り込んだ金額は合計で200万円以上に。しかし、その後業者との連絡が突然途絶え、Aさんは詐欺に遭っていたことを初めて実感しました。
その後、弁護士に相談したものの、詐欺集団はすでに姿を消しており、被害額の回収は困難な状況でした。
Aさんのケースのように、信頼できない業者に安易に手続きを任せることは非常に危険です。
ケース2:兄弟間でのトラブルと偽造業者
Bさんは、70代の母親を亡くし、兄弟と一緒に相続手続きを進めることになりました。母親の財産はそれなりにありましたが、特に不動産が多かったため、手続きは複雑そうでした。兄弟の中で一番忙しいという理由で、長男である兄が「専門家に代行してもらったほうがスムーズだ」と提案し、自ら代行業者を手配しました。
しかし、手続きが進む中でBさんに「あなたの相続分はかなり少ない」と伝えられ、明らかに兄に有利な状況が進められていることに疑問を抱きます。Bさんが代行業者に詳細を問い合わせても、明確な回答が返ってこず、兄が一方的に手続きを進めてしまいます。
不安に感じたBさんは弁護士に相談し、調査を依頼したところ、兄が手配した業者は信頼できる専門家ではなく、遺産分割の際に兄に有利になるように文書を改ざんしていたことが発覚。Bさんは、遺産の一部を取り戻すために、兄との法的な争いを避けられない状況に追い込まれました。
文章の改ざんなどは、違法に当たる場合がほとんどです。弁護士に相談しましょう。
ケース3:遺産増加をうたう投資詐欺
遺産を増やす話に乗ってしまった結果…
Cさんは、50代の会社員で、両親が亡くなった際に数千万円の遺産を相続しました。Cさんは、普段から節約を心がけていたものの、「このお金をうまく運用して増やしたい」という思いもありました。そんなとき、昔の友人から「知り合いの投資アドバイザーを紹介する」と連絡を受けました。最初は疑っていましたが、友人からの強い勧めもあり、アドバイザーと会うことに。
そのアドバイザーは、丁寧で信頼できそうな人物で、彼の話す投資プランも「リスクが低く、確実に利益が出る」と思わせるものでした。「これなら安心して任せられる」と感じたCさんは、数百万円を投資することを決断。ところが、投資して数ヶ月経っても連絡はなく、配当も振り込まれません。さらに、アドバイザーとの連絡が完全に途絶え、友人を通じて調べても既に姿を消していることが判明しました。
Cさんはすぐに弁護士に相談しましたが、詐欺師は巧妙に証拠を隠しており、被害回復が難しい状況でした。詐欺に巻き込まれた事実を受け入れるまでに時間がかかり、精神的なショックも大きかったと語っています。
ケース4:遺言書の改ざん・偽造
親族間での争いが招いたトラブル
Dさんは、長年実家で両親と暮らしてきました。父親が亡くなり、母親が高齢で介護が必要になったため、Dさんが面倒を見ていたのですが、母親も亡くなり、遺産相続が始まりました。母親が遺言書を残していたと聞いていたDさんは、自分が相続するものだと思っていました。
ところが、親族会議で提示された遺言書には「全財産は長男に譲る」と記載されており、Dさんには一切の財産が分配されない内容でした。長男は、遺言書をすでに確認済みだと言い張り、Dさんに反論の余地はないと主張しました。
不審に思ったDさんは、遺言書が本物かどうか弁護士に調査を依頼。結果、長男が遺言書を改ざんし、自分に有利な内容に書き換えていたことが発覚しました。Dさんは、家族を信用していた分、ショックを受けましたが、法的措置を取ることで正当な相続を取り戻しました。
3. 詐欺に引っかからないための事前対策
信頼できる専門家に相談する
弁護士に相談して無事に相続手続きを終えたEさんの話
Eさんは、40代の主婦で、父親の相続手続きを一人で進めることに不安を感じていました。書類の多さや複雑さに圧倒されていたEさんは、「このままでは失敗するかも…」という不安を抱えていました。そこで、地元で評判の良い弁護士に相談し、相続手続きをサポートしてもらうことにしました。
弁護士は、相続の基本的な流れから書類の整え方まで丁寧に説明し、必要な手続きの一つ一つをサポートしてくれました。また、詐欺に巻き込まれないための注意点や、他の親族との適切なコミュニケーション方法も教えてくれたことで、Eさんは安心して手続きを進めることができました。最終的に、詐欺やトラブルに巻き込まれることなく、無事に相続を完了しました。
4. 相続手続きで注意すべきポイント
1. 遺言書の確認
遺言書がある場合は、弁護士や公証人にその内容が法的に有効かどうかを確認してもらうことが大切です。遺言書が改ざんや偽造されているケースもあるため、注意が必要です。
2. 親族間でのコミュニケーションを大切にする
相続手続きでは、親族間でのコミュニケーションが重要です。不信感や誤解が生じないよう、手続きの進捗状況を透明に共有することで、トラブルを防ぎやすくなります。特に、財産分配に関する話し合いは、公正な方法で進めることが大切です。
5. 詐欺に巻き込まれた場合の対処法:弁護士に相談しよう
弁護士に相談して詐欺から守られたFさんの事例
Fさんは、相続手続き中に「相続財産を増やす確実な方法がある」と持ちかけられました。最初は不安に感じたものの、相手の話し方が非常に説得力があり、徐々に信じてしまいそうになりました。しかし、少しでも不安を感じたFさんは、弁護士に事前に相談しました。弁護士は「その投資話にはリスクが高すぎる」と警告し、Fさんは大きな被害を避けることができました。
まとめ
相続詐欺に巻き込まれた場合、早めに弁護士に相談することで被害を最小限に抑えることができます。多くの弁護士事務所が無料相談を提供していますので、トラブルを感じたらすぐに相談しましょう。
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