想像を絶する相続争い!現役の弁護士に聞く相続トラブル事例

想像を絶する相続争い!現役の弁護士に聞く相続トラブル事例 相続トラブル

はじめに:相続争いは「他人事」ではない

相続争いは、財産の多い少ないに関係なく発生する可能性があります。「家族仲が良いから大丈夫」と油断していると、意見の食い違いが火種となり、争いに発展することも少なくありません。

この記事では、現役弁護士に聞いた実際の相続トラブルのケースを紹介し、トラブルを防ぐための具体策を解説します。

 トラブル事例①:遺言書が2通見つかり、兄弟で訴訟に発展したケース

背景

【家族構成】
父(故人):自営業を営んでいた
長男(45歳):実家の跡継ぎとして父の店を引き継ぐ予定
次男(42歳):サラリーマンで家庭を持ち、実家とは疎遠

父が亡くなった後、家族が遺品を整理していた際、父の自筆による遺言書が2通見つかりました。1通目には「長男に自宅と店を譲る」と明記されていましたが、2通目では「財産は兄弟で均等に分ける」との内容が記載されていました。

次男は「2通目が最新だ」と主張する一方、長男は「父が長年、自分に店を継がせたいと言っていた」と反論。これにより、兄弟間の関係は悪化し、最終的に訴訟に発展しました。

争点

  • どちらの遺言書が有効かを巡っての対立
  • 兄弟間の不信感が増し、協議が決裂

解決策

弁護士が2通の遺言書を検証し、2通目の遺言書に形式不備があることを突き止めました。家庭裁判所は1通目を有効と判断し、長男が店と不動産を相続する形で解決しました。次男には他の預金が割り当てられ、和解が成立しました。

故人の父親が生前に公正証書遺言を作成することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
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トラブル事例②:海外在住の相続人が協議を拒否し、遺産分割が進まなかったケース

背景

【家族構成】
父(故人):公務員退職後に他界
長女(50歳):地元で暮らし、実家の管理をしていた
長男(47歳):海外勤務中で、実家にはほとんど関わらない

父が亡くなった後、遺産分割の話し合いが必要になりましたが、海外在住の長男が協議に参加を拒否。遺産には、現金の他に父名義の不動産が含まれており、売却するか長女が管理を引き継ぐかで話し合う必要がありました。

長女は何度も連絡を試みましたが、長男は「仕事が忙しい」と取り合わず、話し合いが進みませんでした。これにより、長女は精神的に疲弊し、協議のたびにイライラが募っていきました。

争点

  • 協議を進められないことで他の兄弟が精神的なストレスを感じる
  • 全員一致の原則により、長男の同意なしでは遺産分割が成立しない

解決策

弁護士が長男に連絡を取り、Zoomなどビデオ通話で協議するか代理人を立てるよう提案しました。長男は正式に委任状を作成し、弁護士が長男の代理人として協議に参加することで、無事に遺産分割が完了。遺産分割協議書を作成し、裁判所での手続きをスムーズに進めました。

代理人制度の活用が、遠方や海外在住の相続人がいる場合に有効です。

トラブル事例③:借金を抱えた相続で家族が混乱したケース

背景

【家族構成】
父(故人):会社を経営していたが倒産寸前
母(生存):財産状況を把握していなかった
長男(40歳):父の会社を一部引き継いでいた
次男(37歳):別の会社に勤務、財産に関心が薄い

父が亡くなった後、遺産を整理していたところ、会社の借金が財産を大きく上回ることが発覚。さらに、父は知人の保証人にもなっており、家族は負債の連鎖に巻き込まれる可能性がありました。

家族は相続放棄するべきか迷いましたが、母が「住む自宅を失いたくない!」と主張したため、協議は混乱。兄弟は相続を放棄しようとする一方、母は抵抗し、家族間の対立が深まりました。

争点

  • 相続放棄をするか、どこまで負債を引き受けるかで家族が対立
  • 借金を引き継ぐ場合のリスクが高いため、早急な判断が求められた

解決策

弁護士が財産と負債の詳細を調査し、母が住み続けるための方法として、母が不動産を単独で相続し、兄弟は相続放棄を行う案を提案。母の生活を守りながら負債のリスクを最小限に抑え、家族関係を維持する形で解決しました。

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トラブル事例④:親の介護をした長男が「自分だけ多く相続したい」と主張したケース

背景

【家族構成】
母(故人):晩年は介護が必要な状態
長男(50歳):10年間にわたり母を介護
長女(48歳):遠方に住んでおり、介護には関わらなかった
次男(43歳):遠方にい住んでいて、たまに介護にかかわっていた

長男が亡くなった親の介護を10年以上担当していましたが、他の兄弟は協力的ではありませんでした。長男は「自分がこれだけ苦労したのだから、他の兄弟よりも多くの遺産をもらうべきだ」と主張しましたが、他の兄弟は「親の財産は均等に分けるべきだ」と反発し、協議は難航しました。

争点

  • 長男の寄与分の主張がどの程度認められるか
  • 他の兄弟との感情的な対立

解決策

長男の弁護士が「寄与分」を家庭裁判所で主張するため、介護にかかった費用の領収書介護日誌を証拠として提出しました。最終的に裁判所は、長男に不動産を優先的に相続させ、現金を他の兄弟で受け取る形で和解が成立しました。

寄与分を主張する場合は、具体的な証拠を用意することが必要です。

 相続争いを防ぐための3つの重要ポイント

① 遺言書を残すことの重要性

公正証書遺言を準備することで、遺言の有効性が確保され、相続争いを未然に防ぐことができます。

② 生前に財産の全容を把握し、家族と話し合う

財産のリスト化と家族間での話し合いにより、相続への不安を減らし、協議が円滑に進むようになります。

③ 弁護士を交えた早めの相談

争いが発生する前に専門家へ相談することで、感情的な対立を避けることができます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 遺言書があれば相続争いは起きませんか?

A. 遺言書があっても、内容が不公平だと感じる相続人が争うことがあります。そのため、明確で合理的な内容が重要です。

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Q2. 相続放棄は全員が行わなければいけませんか?

A. いいえ。相続放棄は相続人ごとに判断できます。全員が放棄する必要はありません。

Q3. 親の介護をした子どもが他の兄弟より多く相続できるのはなぜですか?

A. 介護や金銭的支援があった場合、「寄与分」として認められることがあります。

 まとめ:相続争いを防ぎ、スムーズな相続を目指すために

相続争いは予想もしなかったタイミングで発生することがあります。遺言書の準備、生前の話し合い、早めの専門家相談が争いを防ぐカギです。もしトラブルが発生した場合も、弁護士のサポートを受けることで、冷静に解決することが可能です。

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